抄録
ストレッチングが筋を柔軟にすることは自覚感, 触診, 関節の屈曲や伸展の角度などから知られていたが, 実際に筋硬度を測定したデータはほとんどない.本研究において, 我々は運動負荷後上昇したヒラメ筋筋硬度に対するストレッチングの効果を客観的に測定した.運動後上昇した筋硬度の回復は, 被験者が自分自身で行ったストレッチングによっては影響されなかったが, 実験者によるストレッチングによっては統計的に有意に回復が促進された.運動負荷のしていない筋においては他者によるストレッチングの効果は認められなかった.自分自身で行ったストレッチングで効果が見られなかったのは被験者がストレッチングに不慣れであったことに起因する可能性がある.しかし実験者によるストレッチングにおいては運動後の筋硬度の回復が促進されることが客観的に示された.