1985年, ソ連で両眼にSputnik lensタイプの虹彩支持型前房レンズ挿入術を受け, 高度の角膜内皮障害により右眼にレンズ交換を行った1症例を経験したので報告する.症例は79歳日本女性で, 2001年5月に当科を紹介され受診した.視力はVd=0.1 (0.9) , Vs=0.03 (0.1) , 角膜内皮細胞数は右658個/mm2, 左眼は測定不能であった.2001年9月に, 当科で右眼内レンズを摘出し, 後房レンズ挿入術を施行した.摘出したレンズの電子顕微鏡による所見では, 光学部表面の一部に細胞様の付着物を認め, エッヂ近くには, 亀裂のような所見が見られた.又, 支持部には, 材質劣化の所見がみられた.2003年10月の術後視力はVd=0.4 (0.9) , 角膜内皮細胞数は右714個/mm2と術前とほぼ変化がなかった.