昭和医学会雑誌
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作業療法士の職業性ストレスモデルの作成に関する疫学的研究
―構造方程式モデリングを用いた検討―
鈴木 久義神山 吉輝川口 毅
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2005 年 65 巻 5 号 p. 410-420

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抄録

近年, 本邦において医師や看護師等の保健医療従事者にストレスによるburnout (燃えつき症候群) に罹患する者が増加している.特に作業療法士については, その実態は明らかでなく, 職業性ストレスに関する研究は極めて少ない.本研究においては東京都およびその近県に在勤している作業療法士を対象に計291名について職業上のストレスとその要因について調査を行い, 職業性ストレスモデルを作成した.本邦における作業療法士の職業性ストレス要因は, 英国やスウェーデンにおける研究と比較すると, 保健・医療・福祉の供給体制の違いを越えて, ほぼ同様のストレス要因が存在すると同時に, 本邦特有と思われるストレス要因も存在することが示唆された.これらの要因について因子分析を行った結果, 「職務遂行」, 「職場内の人間関係」, 「多忙な業務」, 「待遇」, 「職務特性」, 「意志決定への参画」の6項目がストレス要因として抽出された.さらに, それらの背後にある潜在要因として「職務の円滑な遂行に関連する要因」と, 「作業療法という職業に内包される要因」の2つの潜在要因が想定され, それらが最終的に職業性ストレスにつながるとする最適なモデルを提案することが出来た.本研究の結果, 作成した職業性ストレスモデルは, 作業療法士の職業性ストレス要因とそれらの要因間の関連性を明らかにすることによって職場の管理者や作業療法士自身のストレスコーピングに寄与するものと思慮する.

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