昭和医学会雑誌
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木片による咬筋内異物の2症例
大塚 靖
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2006 年 66 巻 2 号 p. 129-135

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抄録

木片による外傷性咬筋内異物のため開口障害, 難治性瘻孔など持続する頬部の炎症症状を呈した2症例を経験した.症例1では雪山登山中の転倒により, 症例2ではスノーボード滑走中に樹木に衝突して異物が迷入した.症例1ではCTで, 症例2は超音波検査とCTを施行し異物の診断をすることができた.2症例とも異物摘出術による治療で症状の改善を認め治癒した.木片などの植物性異物はX線透過性であるため, 初期診断を誤ると持続する炎症症状を引き起こす可能性がある.このため診断は重要であり, 超音波検査, CT, MRIが植物性異物では有用な画像検査となる.外傷性咬筋内異物の報告例はまれであるが, 日常的に起こりえる症例である.開口障害, 難治性瘻孔, 膿瘍など頬部の持続する炎症症状を呈する患者に遭遇した際は異物迷入も考慮に入れる必要がある.

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