生体医工学
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抄録
抑うつ症状の鑑別診断用光イメージング脳機能測定装置
大橋 三男
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2016 年 54Annual 巻 27AM-Abstract 号 p. S138

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抄録

fNIRS(functional near-infrared spectroscopy equipment)が、平成26年4月より「D236-2光トポグラフィー / 抑うつ症状の鑑別診断の補助に使用するもの」検査で医科診療報酬点数が与えられた。すなわち保険適用となった。fNIRSは1990年代から始まって脳科学研究の世界では広く使われ実績を上げてきたが、いよいよ臨床現場での使用が開始された。従来型の医療機器であるCTとかMRIといった生体の形状検査ではなく、脳機能検査が保険適用になったのは画期的である。

 このfNIRSでは多点における脳血流変化を同時計測している(保険適用では最低10チャネルが要求されている)。近赤外線光を外部から生体に出射し、脳内部で吸収と散乱を受け生体外部に戻ってきた微弱光を高感度光センサーで捉えて計測する技術である。このfNIRSの基盤となる技術として光変調技術がある。従来はTDMA(時分割多重)あるいはFDMA(周波数分割多重)という変調方法が使われていた。我々が開発した最新技術のCDMA(符号分割多重)を使ったfNIRS(光イメージング脳機能測定装置Spectratech OEG-16ME)も昨年4月に保険適用に認められた。CDMAの最大のメリットは高SNR(信号対雑音比)であること、変復調回路規模は極めてシンプルで小さく、機器の小型化に大きく貢献していることである。今回、その概要を紹介する。

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© 2016 社団法人日本生体医工学会
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