生体医工学
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抄録
経皮エネルギー伝送用コイルのインダクタンスが電力伝送に与える影響
村上 遥齋藤 逸朗阿部 祐輔
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2016 年 54Annual 巻 27PM-Abstract 号 p. S191

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抄録

近年、人工心臓は心臓移植までのブリッジとしてだけでなく、心臓移植に代わる技術として研究されている。ところが、現在の埋め込み型人工心臓では体外からの電源供給のため体内外を貫通する電源ケーブルを使用しており、使用者は術後も貫通部位からの細菌感染リスクに苛まれ続ける。この貫通ケーブルの問題を解決するため、電磁誘導等を利用して送電する技術が経皮エネルギー伝送システム(TETS)である。TETSでは体内外のTETS用コイルの位置ずれによる伝送効率低下が課題となっているが、本研究ではフレキシブル基板で湾曲可能なコイルを作製し、従来の固いコイルでは埋め込みが出来なかった位置ずれしづらい箇所に埋め込むことで位置ずれ自体をなくして解決する見込みである。しかしながら、本コイルは従来コイルよりも薄いためにESRが高く、従来の直径100 mm、ESR300 mΩ程度のコイルを作製すると巻き数がトレードオフとなりインダクタンスが低くなる。そこで、1枚当りのインダクタンスが0.6 uH、ESRが0.06 mΩとなるフレキシブル両面基板の2回巻コイルをモデルとして、直列に繋ぐことでインダクタンスが可変となるコイルを想定し、LTSpiceを用いて回路2次側での出力電力をシミュレーションで測定した。結果、30 V, 41 kHz矩形波を電源とした際の16回巻コイルのインダクタンスが38.4 uHの時、コイル間距離を10 cm離した場合でも25.3 Vという人工心臓駆動に必要な出力が得られた。

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© 2016 社団法人日本生体医工学会
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