生体医工学
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抄録
医療環境の安全性向上のための支援技術としてのRFID認証システム
保坂 良資
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2016 年 54Annual 巻 28AM-Abstract 号 p. S285

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抄録

医療環境では依然として多くの医療過誤が生じている。その中の相当数は、ヒト・モノすなわち個体の認証で生じている。この認証作業を自動化できれば、理論的にヒューマンエラーに起因する医療過誤はすべて排除できる。同時に看護師や医師らの業務負荷も軽減できる。その結果として、患者の安全性向上が期待できる。一般的な個体認証はバーコードや2次元シンボルで実施されるが、これらからの情報の読み取りには、人による操作が欠かせない。このため、前述のヒューマンエラーに起因する医療過誤を誘発する可能性がある。ところが認証情報メデイアとしてRFIDを応用すれば、完全自動の認証システムが実現できる。この場合、人の関与が無くなるため、理論的に医療過誤の排除が可能となる。ここでは、UHF帯パッシブRFIDによる患者認証と手術器械類の認証を提案する。前者では、リストバンドとしてRFIDタグを患者が着用することで、院内随所での所在管理が可能となる。これにより、たとえばトイレでの昏倒など、不慮の事故を防止できる。後者では、これまで不可能であった100個単位での一括自動認証が数秒で実現でき、手術室看護師の業務負荷の軽減に大きく寄与できる。また本研究では、医療環境内での電磁的安全性についても実験的に検証したので併せて報告する。

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© 2016 社団法人日本生体医工学会
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