生体医工学
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抄録
生体デバイスと臨床適応上の課題
山下 小百合
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2016 年 54Annual 巻 28AM-Abstract 号 p. S289

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抄録

臨床現場では、生体デバイスの普及により看護師等の観察行為が簡便になり患者の病状変化に敏速かつより適切に対応可能となった。一方、セントラルな生体監視モニタからの情報を看護師が遠隔から判断し、生体データを評価することになり実際に患者を観察せずモニタの情報のみを評価したために重大な医療事故が発生することもある。また、地域包括ケアシステムの構築という病院外部との情報共有では救急隊との電話による患者の情報共有にも課題がある。臨床で生体監視モニタやナースコールを適切かつ看護の行動を効率により安全に活用する為には、モニタに装備されるアラーム機能をベッドサイドでの患者情報と併せて評価する、しなければならない環境に導くような機能とすることも事故予防と看護の質の向上に資するのではないかと考える。実際にアラームを過信し、セントラルモニタで観察した情報のみで消音してしまい患者のベッドサイドに行き忘れる行動や、心拍波形を思い込みで評価し患者の急変を察知できなかったことによる医療事故が発生している。また、救急隊と救急外来の搬送依頼の連絡は、多くの医療機関で電話による口頭情報を頼りにトリアージしている現状がある。搬送前の情報と実際に患者搬送時の状態評価の際にトリアージに影響する生体情報の評価の違いが発生することも多い。生体情報のアラーム機能や生体情報共有の手段について、臨床現場の安全性を看護の立場から議論する。

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© 2016 社団法人日本生体医工学会
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