生体医工学
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抄録
爆傷モデルマウスの脳損傷3Dイメージング
尾崎 一平佐藤 泰司太田 宏之西井 清雅堀内 俊克樫谷 賢士四宮 成祥斎藤 大蔵守本 祐司
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2017 年 55Annual 巻 3AM-Abstract 号 p. 140

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抄録

爆風による脳損傷のうち、軽傷例の病態を理解するには、微小で変化に乏しい脳損傷部位を同定できる技術が必要となる。微小脳損傷が生じると、微小血管損傷により、炎症反応の躍起および、顆粒球の漏出が生じると考えられる。そこで、本研究では、軽度脳損傷の評価のための、好中球発現マウスの脳透明化による生体蛍光イメージング手法を確立する。【方法】Myelomonocytic cellのLysozyme M領域にEGFP遺伝子を導入し作製した蛍光好中球発現マウスに衝撃波を負荷した。その後、マウスの灌流固定を行ったのちに全脳を取り出して、1.5 mm厚の矢状面スライスを作製した。その後、CUBIC法による脳スライスの透明化処理を行い、蛍光顕微鏡を用いて好中球イメージングを行った。【結果】予備的検討によって、脳損傷を与えられたマウス脳における好中球蛍光イメージングの3D画像を構築することに成功しており、損傷部位では、好中球密度の上昇が濃淡のイメージとして可視化された。【結論】遊走好中球のイメージングから微小脳損傷を正確かつ定量的に理解することが可能となる。今後、本手法を用いて、微小脳損傷の経時的推移を追跡することによって、中枢神経系疾患および頭部外傷における脳損傷の継時的推移および、それに対する治療薬や予防薬の効果の可視化ができるようになることが期待される。

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© 2017 社団法人日本生体医工学会
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