生体医工学
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抄録
筋電義手のための柔軟素材を用いたアレイ電極一体型ソケットの開発
加藤 雄斗鈴木 健嗣
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2017 年 55Annual 巻 3AM-Abstract 号 p. 147

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抄録

全世界に前腕切断者は300万人いるとされ、その多くは日常生活動作に制限があるなどが生活の質を低下させている。人が筋肉を動かす際に発する電位信号を,電極を利用して計測し手先を開閉させる筋電義手は、その機能性や重量、操作性の観点から十分とは言えないのが現状である。従来の筋電義手では電極に乾式の金属を使用しているため、柔らかい皮膚に常に密着させておくことが難しいこと、さらに信号を取得するための電極を設置する適切な位置が不明である点が課題となっている。そこで本研究では、対人親和性を考慮した上で、導電性を有する布を電極として使用し、それを多数配置することで柔軟に皮膚形状に対応するとともに,多数の電極から最適位置を選択する機能を追加した電極を提案する。さらに、これを筋電義手用のソケットに一体化させることで、筋電義手の装着と同時に精度の良い計測を可能とする電極を簡便に装着することができる。本稿では、導電性の布を用いたバンド状のアレイ電極を製作し,これを用いて前腕の把持動作の検出が可能であるか検証した。実験結果より、バンドの設置位置によらず、把持動作を行った時点でいずれかの電極において信号のピーク点を計測可能であることから、動作検出が可能であることがわかった。これにより導電性布によるアレイ電極が義手の制御に応用できる可能性が示唆された。

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© 2017 社団法人日本生体医工学会
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