生体医工学
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抄録
幾何モデルを用いた理学療法士が行う足首の背屈ストレッチング施術のシミュレーション手法の提案
杉原 新戸田 英樹松本 竹史
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2017 年 55Annual 巻 3AM-Abstract 号 p. 149

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抄録

本研究では,理学療法士が行う足首の背屈ストレッチング施術の技術を理学的に分析することで自動化・機械化の為の基礎実験を行う事を目的とする.介護現場で必須ともいえる足首の拘縮予防ストレッチング施術の機械化は,足首の拘縮状態を生み出し寝たきりを抑制するためには必須なものであるが,装置のコンパクト化・軽量化・単純化を含め,体重近くの力を足首に加える必要性から現在まで思うように進んで居ない.理学療法士の足首への施術は、患者の足裏を押し込む際に患者の足を下に押さえつけるのではなく,足が背屈運動と同時に上方向に浮くような押し込みを行う.本研究では,この特別な施術を,足裏への押し込みの回転軸,くるぶし,股関節,母指球の位置関係を表した幾何モデルを用いて,PCを利用した簡単な数値解析を行った.この解析の結果から,足裏への押し込みがなされたとき,足首の背屈と同時にくるぶしの位置が引き上げられ,足全体が股関節を軸に持ち上がる仕組みと条件を計算することが出来る事がわかった.加えて,PCによる数値解析の結果を受け,ステンレス鋼とDCモータを用いて実機を制作し,背屈時に足裏およびアキレス腱にどのような力が掛かるかの計測を行った.本研究の結果は,足首関節へ大きな力を加える必要がある装置を作成する際に基礎設計を行う上で有用になるだろう.

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© 2017 社団法人日本生体医工学会
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