生体医工学
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抄録
胸郭運動を利用し呼吸相別に呼吸音を計測する胸部装着型デバイスの開発
湯浅 佑亮高橋 佳奈子鈴木 健嗣
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2017 年 55Annual 巻 3AM-Abstract 号 p. 159

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抄録

本研究では, 喘息患者を対象とした経過観察のために呼吸を計測する胸部装着型デバイスを提案する. 適切な経過観察や診断には症状が現れている時間の呼吸の情報が有用である. 喘息の症状は発作性であり, 症状が在宅時などの日常生活環境で現れることは多いため, 正確に医師に重症度を示すことは困難である. 従来, 在宅時の計測機器として用いられているピークフローメーターによる記録は断続的で, 発作時に計測している保証はないため, 連続した計測が望まれる. そこで提案デバイスは日常生活中の呼吸を連続的, 経時的に計測する. 呼気相を中心に現れる喘息症状の同定を目的として呼吸相ごとの計測を基本とすることが提案デバイスの最大の特徴であり, 本稿ではこの実現可能性を中心に示す. 提案デバイスは柔軟素材で成形されており, 呼吸音と胸郭運動を計測する. 呼吸音は喘鳴を始めとした呼吸情報の取得可能性を含むが, 非実験環境下において呼吸相を弁別することが困難であると考えられるため, 胸郭運動を同時利用する. 柔軟素材で成形されているため, センサ自体が呼吸によって変形し, 胸郭運動の計測が可能となる. 評価実験では提案デバイスの特性評価及び実用可能性を検証する. 結果から, 装着部位や流量による信号の変化が確認でき, 呼吸相が正しく弁別できる区間が見られた. これより, 提案デバイスによって呼吸性の信号が取得でき, さらに呼吸相が弁別できる可能性が示唆される.

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© 2017 社団法人日本生体医工学会
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