生体医工学
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抄録
内視鏡的治療のための軟性内視鏡把持・操作ロボットの開発
小野木 真哉中楯 龍岩佐 勉荒田 純平小栗 晋池田 哲夫橋爪 誠
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2017 年 55Annual 巻 3AM-Abstract 号 p. 182

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抄録

内視鏡的粘膜下層剥離術(endoscopic submucosal dissection, ESD)は早期胃癌・大腸癌・食道癌に対する極めて有効かつ低侵襲な根治術である.これは,鉗子口より電気メスを出し,スコープ操作(上下左右の屈曲,捩り,押し・引き)によって腫瘍の全周切開と剥離を行う術式である.しかし,スコープ操作で切開・剥離を行うことから,安全かつ短時間で処置を完了するためには相当の訓練が必要であり,欧米では日常的な選択肢として普及していない.そこで,片手で直感的な操作を実現するため,市販の内視鏡を取り付けてマスター・スレイブ化するロボットを開発した.システムはダイヤル部を取り付けるホルダーと患者挿入部付近の軟性部を把持・押し引きする内視鏡把持部,上下左右と捩りが可能なジョイスティック型ハンドルをリニアガイド上に設置した4自由度の入力が可能なマスターコントローラで構成される.ホルダーと内視鏡の取り付けには,機種・メーカーによるダイヤル部の形状の差異を吸収するためのカプラーを2枚の各ダイヤルに取り付けることとした.開発したロボットの精度評価として,マスターを用いずにソフトウェア上で各自由度に対して正弦波の信号を入力し,電磁気式位置計測装置を用いて内視鏡先端部の動きを計測した.実験の結果,200msec程度の遅れで,上下,左右,捩り,押し引きの各操作が可能であることが確認された.

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© 2017 社団法人日本生体医工学会
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