生体医工学
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抄録
評価科学としてのレギュラトリーサイエンスの考え方
笠貫 宏
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2017 年 55Annual 巻 3PM-Abstract 号 p. 194

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抄録

レギュラトリーサイエンス(RS)の概念は、1987年、内山充氏によって提唱され、規制政策に科学的根拠を与える“行政科学”の側面以外に既存の基礎科学や応用科学とは異なる“評価科学”の側面を持つことが指摘された。我々は「医療RSを健康医療に関わる先進的科学技術と人・社会の調和・調整を図り、真の人類の利益・幸福をもたらすための評価・予測・意思決定科学。」と定義している。科学は不確実性を伴うため、科学的データの評価により、科学的合理性を判断し、さらに社会的妥当性を判断し、社会的合意を求めて決断(意思決定)する。換言すれば、多次元の分析が必要(multidisciplinarity)であり、自然科学と社会科学における多数の学問領域が協力する研究活動(学の融合、transdisciplinarity)であり、かつ既存の学問領域の境界領域に形成する新たな学問分野(学際、interdisciplinarity)である。その学問体系化とその実現に向けての評価法・解析法など方法論の確立は緒に着いたところである ここでは、医療機器の承認時におけるベネフィット・リスク評価について議論されるであろう。

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© 2017 社団法人日本生体医工学会
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