生体医工学
Online ISSN : 1881-4379
Print ISSN : 1347-443X
ISSN-L : 1347-443X
抄録
母体腹壁上の胎児心電位分布推定とe-Textile開発の試み
吉田 久小仲 沙季足立 敏平野 喜久夫杉村 和重上島 一夫黒田 知宏吉田 正樹佐道 俊幸小林 浩
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 55Annual 巻 3PM-Abstract 号 p. 207

詳細
抄録

近年、妊婦の高齢化などに伴い合併症妊娠が増加している。胎児の健康状態を把握するためには胎児心拍数を定常的にモニタする必要がある。筆者らはこれまでに妊婦腹壁上の生体電位から胎児心電位を計測し、自宅で簡便に胎児心拍数を測定するための方法を開発してきているが、母体腹壁上で観測される胎児心電位は非常に微弱であるため、胎児心電位を常に検出することは容易ではない。胎児心電位の検出率を向上させるためには、妊婦腹壁上に現れる胎児心電位分布に合わせて、電極位置を適正化することなどが考えられるが、妊婦腹壁上に現れる胎児心電位分布について詳細に検討した研究事例は筆者の知る限りない。本報告では、胎児心電位抽出の為の独立成分分析法の逆過程を辿ることにより、妊婦腹壁上における胎児心電位推定法を提案する。実際に妊婦腹壁上の生体電位から提案方法を用いて分布推定を実施した結果、母体腹壁上に現れる胎児心電R波の振幅は4μVから16μV程度であり、被験者毎にその分布は異なることが明らかになった。また、試作した西陣織 e-Textile腹帯を装着し、母体腹壁上の生体信号計測も実施した。電極部に2種類の異なる西陣織の布電極を使用し、保水性の違いによる評価を行うとともに、装着時の快適性も考慮した改良版e-Textile腹帯の装着試験も実施した。なお、本研究は総務省SCOPEの支援によるものである。

著者関連情報
© 2017 社団法人日本生体医工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top