生体医工学
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抄録
脊髄損傷者の体温モニタリングにおけるウェアラブル深部体温計の実証実験
黄 銘吉村 拓巳田村 俊世硯川 潤高嶋 淳緒方 徹井上 剛伸
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2017 年 55Annual 巻 3PM-Abstract 号 p. 221

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抄録

脊髄損傷者(以下、脊損者)は自律神経に損傷があるため、一般的な発汗や血行などの体温調節手段はうまく機能せず、体温調節障害を持つ場合が多い。こうした原因で脊損者に対して適切な体温モニタリングは必要である。口内温、鼓膜温の計測は連続的な体温モニタリングには不向きであるので、本研究は、双熱流法に基づいたウェアラブル深部体温計(以下深部体温計)を開発し脊損者の体温モニタリングへの応用を念頭に置き、実証実験により精度検証を行った。本実験では、三人の対象者(脊損者、男子、年齢:38、22、29歳)を募集し、以下の実験プロトコルを実施した。プロトコルは深部体温計を装着した後の安静状態(5分)、車いすマラソンのトレーニング(以下、WCM、15分)、休憩(15分)、WCM(15分)、休憩(30分)、WCM(15分)、休憩(15分)によって構成された。深部体温計はトレーニングに影響しないように背部に貼り付けた。対照とした医用深部体温計(コアテンンプCM-210、テルモ)は背部及び前額部に装着し、比較した。その結果、深部体温計はコアテンプの計測値によく追従し、平均相関は0.94、平均誤差は0.1°C以下となった。深部体温計は専用のAndroid アプリによって体温の変化をリアルタイムに反映できるので、脊損者の体温モニタリングには適切な手段になると考える。

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© 2017 社団法人日本生体医工学会
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