生体医工学
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抄録
ブロックチェーン:医療機関間の安全で自律分散的なデータ連携に向けて
岩崎 淳也酒井 正夫
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2017 年 55Annual 巻 3PM-Abstract 号 p. 227

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抄録

ビッグデータ技術や人工知能(AI)の発展により,医療機関が保有する膨大な患者の医療データを,適切な診断・治療や新治療法発明などに役立てることが期待されている.しかし,各医療機関がバラバラに保有している医療データを集約して活用するシステムを,従来のような中央集約型の集中管理方式で構築することは容易ではない.その蓄積データ量は膨大であり,保全には高いセキュリティ水準が要求される.また,個々のデータのセキュリティ設定はその種類や権利関係により様々であるため複雑なアクセス制御が求められる.このような大規模で複雑なシステムを中央集約型の集中管理方式で構築する場合,その導入と運用のコストと手間は莫大なものとなると予想される.一方,自律分散方式で構築する場合は,スモールスタートと段階的スケールアウトにより導入のコストと手間の抑制が期待できる.また,権限を個々のノードに委任することで,ノード毎に複雑なアクセス制御も容易である.従来,自律分散型システムは,システム全体の信頼性維持が困難と考えられていたが,ブロックチェーン技術が発明され,それを採用したBitcoinなどの仮想通貨の成功により,自律分散型システムの信頼性が再評価され,仮想通貨以外の多様な分野への応用が期待されている.本発表では,医療機関間のデータ連携を実現するブロックチェーン技術を活用した自律分散型システムの実現方法について議論する.

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© 2017 社団法人日本生体医工学会
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