2017 年 55Annual 巻 3PM-Abstract 号 p. 235
先天性心疾患治療でのFontan循環の血行動態改善を目的として心外導管外部からサポートする超小型小児用肺循環補助デバイスの開発を進めている。アクチュエータは、直径100μmの形状記憶合金で、70℃の通電加熱によって最大7%収縮する。体内埋め込み時のアクチュエータ駆動によるデバイスの発熱が課題であり、デバイスの安定した運用のために熱応答の解明と排熱機構の開発が不可欠である。そこで、本研究では、デバイスの伝熱特性の解明により、ヒートパイプを応用したアクチュエータでの発熱を大血管へと排熱する冷却システムを開発するため、デバイス伝熱応答の検討および排熱機構の基本設計を行った。 現在開発中のプロタイプ補助装置を、病態モデル動物実験により生体内での駆動試験を行い、デバイス駆動時の発熱の影響を計測した。得られた結果から、デバイスに必要な冷却温度差について検討し、ヒートパイプ排熱機構の基本設計を行った。 生体内でのデバイス駆動試験の結果より、最大発熱部で45℃までの熱上昇がみられた一方で、人工血管と接する部位で温度上昇は抑えられた。デバイス本体での最大温度と体温の温度差から、ヒートパイプ設計のための封入気体の選定と封入圧を検討した。 小児用肺循環補助デバイスのためのヒートパイプ冷却装置の基礎検討を行った。今後は、血管排熱部、デバイス吸熱部を有する冷却機構を試作し、実機試験系で性能評価を進める。