生体医工学
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抄録
食道癌化学放射線療法後の局所遺残再発例に対する光線力学療法の医師主導治験
武藤 学
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2017 年 55Annual 巻 4AM-Abstract 号 p. 264

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 食道癌に対する化学放射線療法(Chemoradiotherapy, CRT)は、高い奏効率を示す一方、局所の遺残や再発が高く、治療不応例に対する救済治療の開発が急務であった。われわれは、タラポルフィンナトリウム(レザフィリン)を用いた光線力学療法(Photodynamic therapy, PDT)を食道癌CRT後の救済治療に応用するため、前臨床試験、第I相、早期第II相臨床研究を実施した。その結果を踏まえ、後期第II相の医師主導治験を行い、平成27年5月に薬剤と機器の同時薬事承認を得ることが出来た。治験における主要評価項目は、局所完全奏効割合。主な選択基準は、1) 50Gy以上の放射線照射が行われている、2)組織学的に癌が証明された遺残再発病変を認める、3)救済手術を希望しないか不可能、4)救済内視鏡切除は不可能、4)遺残再発病変が2カ所以内、深達度T2以下、長径3cm以下、周在性半周以下。参加施設は7施設で、目標症例数は25例とした。全26例が登録され、23例 (88.5%; 95%CI: 69.8-97.6)で局所完全奏効が得られた。4週以上のインターバルを置いた局所完全奏効割合も88.5%であった。深達度別のCR率は、T1b病変で、21/21(100%)、T2病変では、4/7(57.1%)であった。薬事承認後、6回の術者認定講習会を実施し、計200名以上の医師が資格を得ている。

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© 2017 社団法人日本生体医工学会
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