2017 年 55Annual 巻 4AM-Abstract 号 p. 270
現在,植込型補助人工心臓が主流となっているが,短期の補助など体外設置型補助人工心臓が有利な場合もある.しかし,体外式補助人工心臓の場合,カニューレの太さや長さが補助流量に何らかの影響を与えることが懸念される.そこで本研究では,カニューレの太さや長さが補助流量に与える影響を調査するとともに,制御によって補償することを目的とした. ポンプの静特性であるHQ曲線は自己心の拍動成分の減衰や受動的な流量変化についての情報を持つ,本研究ではポンプと流入および流出カニューレを含めたHQ曲線を得た.また得られたデータから,HQ曲線を表すモデルを構築し,任意の動作点におけるHQ曲線の傾きを評価した.その結果,カニューレを細くした場合において,回転数を上昇させることにより流量を維持できるが,動作点付近のHQ曲線の傾きが急になることが示された.この時,収縮期に回転数を上げ,拡張期に回転数を下げるコパルス制御を行うことでHQ曲線の傾きは緩やかになり,カニューレを細くした場合においてもポンプ本体のHQ曲線と同等の流量特性が得られることが示唆された.