生体医工学
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抄録
骨リモデリングとメカノバイオロジー
中島 友紀
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2017 年 55Annual 巻 4PM-Abstract 号 p. 341

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抄録

運動など力学的な負荷が増えると骨は丈夫になり、寝たきりや宇宙空間など力学的負荷が減ると骨は弱くなることを我々は経験的に理解している。しかし、その詳細な制御機構については、いまだ不明な点が多いのが現状である。生体の基軸である骨組織は、動的な恒常性を維持しながら統合的な運動機能を支えている。骨は破壊と形成の恒常的なバランスによって常に新しく作り替えられている。この再構築は“骨リモデリング”と呼ばれ、強靭な骨組織の維持のみならず、生命維持に必須なミネラルの代謝器官である骨を巧妙に制御している。骨リモデリングは、骨を構成する細胞、破骨細胞、骨芽細胞、骨細胞の細胞間コミュニケーションによって厳密に制御されており、この破綻が様々な骨疾患に繋がる。破骨細胞と骨芽細胞が骨表面で機能する一方で、骨に埋没した骨細胞は、力学的刺激やホルモンなどを感知し、シグナル伝達を介し応答することで、骨リモデリングを制御していると考えられている。

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© 2017 社団法人日本生体医工学会
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