生体医工学
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抄録
運動想起BMIトレーニングに最適な視覚キュー呈示方法の検討
倉田 雅哉栢沼 一修松原 未来関 直人和田 賢弥竹原 大貴小野 弓絵
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2017 年 55Annual 巻 4PM-Abstract 号 p. 348

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抄録

私たちは脳卒中手指麻痺患者を対象として、Digital Mirror Box (DMB)というBMIリハビリテーションシステムを開発している。DMBでは患者が運動想起を行い、患側の運動野で事象関連脱同期(Event Related Desynchronization: ERD)が生じると手に装着した外骨格ロボットとタブレット画面により体性感覚と視覚フィードバックを与える。これまでにERDの検出と感覚フィードバックの制御部分が完成し、臨床研究を開始できるところまで確立されてきた。しかし運動想起に用いる手の動画は、被験者が運動想起を行うタイミングで、白色背景の固視点から黒色背景の手の動画へと画面が切り替わるデザインとなっていた。ERDの算出に用いる自発脳波は覚醒度や注意の切り替わりによってもその強度が変化するため、運動想起による自発脳波強度の変化と視覚刺激への注意が切り替わるタイミングが重なって計測される可能性があった。本研究では運動想起と視覚刺激がERD強度に及ぼす影響を調べるため、画面の切り替わり時の脳波の計測を行って視覚刺激による影響の少ない動画の提示方法を検討した。固視点からの画面切り替わり時には運動野μ波帯域の減衰がみられ、固視点画像後に手の静止状態を入れることで注意の変化の影響によらず、運動想起に由来するERD強度のみを適切に評価するシステムへと改善することができた。

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© 2017 社団法人日本生体医工学会
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