生体医工学
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抄録
ビデオカメラによる遠隔・非接触的血圧変動推定
吉澤 誠杉田 典大阿部 誠田中 明本間 経康山家 智之
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2017 年 55Annual 巻 4PM-Abstract 号 p. 363

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抄録

 ビデオカメラで身体を撮影した映像信号のうち,緑色成分の輝度平均値時系列から得られる映像脈波は,指先や耳朶から得られる光電容積脈波(PPG)と同様に,心臓の拍動とともに変動する信号である.光電容積脈波と決定的に異なる点は,一つのビデオカメラから遠隔・非接触的に2次元的な脈動情報が同時に得られることである. 心電図のR波から光電容積脈波の立ち上がりまでの時間である脈波伝搬時間(PTT),あるいは,心臓からの近位部(例えば耳朶)と遠位部(例えば指先)の2つの脈波の立ち上がり時刻の差(脈波伝搬時間差;PTTD)が,血圧に相関することがよく知られている.したがって,接触式の光センサを2つ使わなくても,映像脈波を用いれば遠隔・非接触的に血圧情報を推定できる可能性がある. 本発表では,PTTDを用いる方法ばかりではなく,映像脈波に基づく血圧変動推定のためのいくつかの方法について紹介するとともに,血圧変動は推定できるが原理的に血圧の絶対値は得られない点や,体動や照明環境の変化に弱いという映像脈波の難点とそれを克服する可能性について議論する.

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© 2017 社団法人日本生体医工学会
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