生体医工学
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抄録
LDL受容体欠損マウスでのアミノレブリン酸によるアテローム性動脈硬化プラークの進行抑制
丹羽 貴郁萩沢 康介江南 慧広富 優華寺原 航長井 健一郎尾崎 一平四ノ宮 成祥守本 裕司
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2017 年 55Annual 巻 5AM-Abstract 号 p. 383

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抄録

【背景】内因性アミノ酸である5-アミノレブリン酸(5-ALA)はヘム合成経路における前駆物質である。5-ALAを生体内投与すると、ヘムならびにヘム分解産物であるCOやビリルビンが増加することが実験的に示されており、様々な生体作用(抗炎症、血管弛緩、ATP産生亢進、糖新生抑制など)も近年報告されるようになった。そこで本研究では、5-ALAの動脈硬化抑制効果について検証した。 【方法】LDL受容体欠損マウスに通常飼料を16週間投与した後、次に示す4種類の飼料投与プロトコールを12週間に実施した:1.通常飼料 (n = 6)、2.コレステロール(1.25%) 含有飼料(1.25%) (n = 7)、3.コレステロール(1.25%) + 5-ALA (10mg/kg/day)含有飼料 (n = 10)、4.コレステロール(1.25%)+エゼチミブ(10mg/kg/day)含有飼料 (n = 6)。飼料プロトコール実施期間に採血して脂質検査を行い、最終的には大動脈を採取して動脈硬化プラークの多寡をオイルレッドO染色によって評価した。 【結果】5-ALA含有飼料投与マウス群はコレステロール含有飼料投与マウス群と比べ、プラーク面積が有意に少なかった。しかしそのプラーク抑制効果は、エゼチミブ含有飼料投与群には及ばなかった。 【結論】5-ALAは生体での抗アテローム性動脈硬化薬として利用できる可能性が高い。

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© 2017 社団法人日本生体医工学会
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