生体医工学
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抄録
光増感反応におけるアルブミン動物種が反応進行およびタンパク酸化に与える影響
小川 恵美悠荒井 恒憲
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2017 年 55Annual 巻 5AM-Abstract 号 p. 385

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発表者はタラポルフィンナトリウムを用いた光増感反応を応用し、副作用を抑えた新しい頻脈生不整脈のアブレーション治療を開発している。光感受性薬剤投与後から光照射までの時間を短く設定することで細胞の外側で一重項酸素を発生させ、不整脈治療において必要な数分オーダーの電気伝導遮断効果を得ることができる。従来の癌に対する光線力学治療では細胞内に薬剤を取り込ませて反応を起こすが、細胞の外側で反応を起こす場合は細胞外に存在する血清蛋白との結合が反応効率に影響を及ぼす要素となる。血清蛋白の中で65-75%の高い結合寄与率をもつアルブミンは、動物種によって構造が異なり薬物結合サイトの欠落があることが知られており、これまでに結合率と死細胞率が動物種によって異なることが明らかになった。ヒト、ウシ、イヌ由来のアルブミンを用いて、アルブミン動物種が光増感反応進行およびアルブミン酸化に与える影響を調査した。反応進行計測にはタラポルフィンナトリウム由来の700nm帯蛍光の反応中計時変化を計測し、アルブミン酸化には光増感反応前後の紫外領域の溶液吸光度を計測した。光感受性薬剤濃度は20 μg/mlとし、アルブミン濃度を0-20 mg/mlと変化させた。イヌアルブミンはヒトとアルブミンの酸化が類似しており、ウシアルブミンはヒトおよびイヌと比較してアルブミンの酸化による吸光度変化が約3倍大きかった。

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© 2017 社団法人日本生体医工学会
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