生体医工学
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抄録
インコヒーレント光源を用いたフォーカストシャドウグラフ法による診断用超音波の音圧波形再現の試み
門田 智明工藤 信樹
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2017 年 55Annual 巻 5AM-Abstract 号 p. 403

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抄録

我々は簡便な超音波音場可視化法としてフォーカストシャドウグラフ法を提案し,その有用性を検証してきた.従来の実験装置では光源にレーザダイオード(LD)を使用していたが,音場画像に光の干渉によるノイズが重畳するという問題があった.そこで本報告では光源にコヒーレンシーの低いLEDを用いて音場像のノイズ低減および,音圧波形の再現可能性について検討した結果を述べる.光源として波長850 nm,パルス幅5 nsのLDと波長610 nm,パルス幅35 nsのLEDを用い,超音波診断装置用プローブが発生する中心周波数2.5 MHzのパルス音場を可視化した.また,光源の点光源性が音場像に与える影響を調べるため,LED光源のコリメート光学系に200 μmのピンホールを挿入した条件でも可視化を行った.その結果LED光源(ピンホールなし)の条件ではLD光源に比べて音場像上の干渉ノイズが軽減されたが,ピンホールを入れると干渉ノイズが再発した.また音場像から求めた焦点近傍の輝度分布を1階空間積分してハイドロホンで測定した音圧波形と比較した.その結果,1階積分波形には音圧波形特有の急峻な圧力の立ち上がりが見られなかったが,ピンホールを入れることで立ち上がり特性が改善され,音圧波形と良い一致を示した.これよりフォーカストシャドウグラフ法の光源にLEDを使用することで画質が向上した音場像が取得可能であり,音圧波形の再現には光源の点光源性が重要であることが示された.

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© 2017 社団法人日本生体医工学会
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