2017 年 55Annual 巻 5AM-Abstract 号 p. 407
演者らは、ドラッグデリバリーシステム(DDS)型超分子として評価の高い高分子ミセルを用いて、患部選択的な集積性を発揮するDDS型吸光薬剤を創製し、光温熱治療(Photothermal therapy: PTT)における優れた治療効果を実証してきた。ところが、腫瘍を縮退に導く施術条件(薬剤濃度や投与量、光照射強度やエネルギーなど)に設定しても、個体によっては腫瘍増大が見られることがあり、抗腫瘍効果が一定しないことがしばしば観察されることがわかってきた。臨床使用に資する医療技術として昇華させるためにはこの問題を解決して、生体において腫瘍縮退を確実に誘導できることが最重要となるが、演者らは最近、PTTにおいてこの問題を解決できる糸口を見出した。それは、PTT施行最中に腫瘍温度をモニタリングして一定温度以上に光加温することである。光照射中のdosimetryにより確実な腫瘍縮退を誘導できる本法は実臨床に応用できる可能性が高い。