生体医工学
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抄録
細胞核の力学場が細胞紫外線耐性に与える影響
長山 和亮佐川 千秋
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2017 年 55Annual 巻 5PM-Abstract 号 p. 452

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抄録

紫外線や放射線などの外的ストレスによるDNA損傷は,がんや甲状腺異常などの様々な疾患の原因となる致命的な損傷である.このため,効果的な防御技術が切望されており,これまで主に医学・生物学分野の基礎研究が進められてきた.一方,ごく最近では,核内のクロマチン構造の物理的な凝集が,DNAの紫外線・放射線感受性に作用する可能性が指摘され始めている.しかし,そのメカニズムは全く未解明であり,生きた細胞のDNA凝縮を操作する方法は全く確立されていない.著者らは最近,直径や高さが数umオーダーの微細な円柱を並ばせて作製したマイクロピラー基板を用いて細胞を培養することで,細胞内の核を大きく変形させ,細胞の増殖を一時的に休止させることに成功している.このような工学的技術を応用すれば,核に力や変形を加えてDNAの凝集や分散を操作し,紫外線や放射線に対する細胞耐性を制御するといった全く新しい医工学技術を提案できる可能性がある.そこで本研究では,微細加工した細胞培養基板を用いて,生きた細胞内の核に変形を加えることで,紫外線由来のDNA切断損傷を効果的に抑制できるかどうか詳しく調査した.

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© 2017 社団法人日本生体医工学会
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