生体医工学
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抄録
Dynamic Optical Coherence Straingraphy(D-OCSA)を用いた軟骨変性力学診断法の評価検討
佐伯 壮一小谷 一馬長谷川 貴一池渕 充彦中村 卓中村 博亮新実 信夫塚原 義人
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2017 年 55Annual 巻 5PM-Abstract 号 p. 493

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抄録

高齢者の多くは関節軟骨の磨耗による変形性膝関節症(OA)を発症しており,超高齢化社会を迎えた日本ではOA診断法の確立が求められている.現在の変形性膝関節症の診断法は関節軟骨の変性が既に進行し軟骨厚さが減少した末期状態を評価しており,OA初期の組織変性状態を捉えたものではない.本研究の目的は,マイクロスケールの分解能を有する断層可視化法,Optical Coherence Tomography (OCT)を用いた関節軟骨の変性評価診断手法の確立である.OCT断層像から瞬間のひずみ速度分布を連続断層可視化するDynamic OCSAを,応力緩和試験および動的粘弾性試験に適用したSR-OCSAとDMA-OCSAを構築した.コラゲナーゼ酵素処理を行ったブタ軟骨や前十字靱帯切離術による家兎OA軟骨に構築システムを適用し,軟骨組織の粘弾性変形挙動から変性度診断の効果について検討を行った.また,粘弾性評価の妥当性を示すために,一般圧縮試験による応力緩和曲線から粘弾性パラメータ推定を実施し比較考察も行った.実験結果より,開発システムは粘性と弾性のバランスをマイクロ断層検出しており,OA診断に有効であることが分かった.

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© 2017 社団法人日本生体医工学会
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