2019 年 Annual57 巻 Abstract 号 p. S29_1
近年リハビリテーション分野ではロボットの導入が進んでおり、脳波をもとに握る動作を補助するグローブ型ロボットが存在する。しかし、握る機能のみのロボットではつまみ動作の訓練を満足に行うことができず、退院後の日常生活訓練としては不十分である。本研究では、「握る」と「つまむ」の2種類の手の動作を使い分けて補助可能なウェアラブルロボットを、市販されている安価な電子部品を用いて開発した。ロボットは市販品(パワーアシストハンド)と比較して、動作速度はほぼ等しいが、製作費用は市販品の販売価格の1/20以下であり、また指先で約10 Nの荷重を支えることができる。ロボットの動作には脳波信号を用いることを想定し、健常者5名を対象に「握る」・「つまむ」の運動想起あるいは運動実行した時の脳波データを頭皮電極から取得した。Common Spatial Patternを用いた時間-周波数網羅的解析による2クラス判別の可能性を検討したが、現状の周波数毎の平均識別率は最大でも61%にとどまっている。2つの動作の類似性が脳波に反映していると考えられるため、識別率の向上が今後の課題である。