2019 年 Annual57 巻 Abstract 号 p. S29_2
背景:歯科臨床において、超音波スケーラーを用いた歯石除去は頻繁に行われる処置の1つであるが、歯に微細な傷をつけることが問題とされている。我々は現在、強力な水流を発生させる治療機器としてパルスジェット(PJ)の技術開発を進めている。PJは出力調整により相対的に物性値の高い組織を温存しながら組織を切開、破砕する組織選択性を有することが特徴で、すでに、様々な臓器における非臨床試験および脳脊髄疾患における臨床試験で有用性、安全性の報告をしている。今回は、PJの歯科領域への応用の第一段階として、PJ噴射による歯石の除去効果と噴射後の歯の表面性状(傷の有無)を検討した。方法:人工歯石を付着させた人工歯に様々な出力(150~240 V)および時間(10~30秒)でPJ噴射を行い、人工歯石の除去量および人工歯の傷の有無を解析した。さらにアパタイトぺレットにもPJ噴射し表面性状を評価した。結果:PJの出力・時間の増加に従い人工歯石が除去され、最大出力でも人工歯、アパタイトぺレットとも噴射後の表面に傷は認められなかった。結論:PJは歯の表面を傷つけることなく、歯石除去が可能な装置であることが示唆された。