2019 年 Annual57 巻 Abstract 号 p. S30_1
近年,癌治療法の中で副作用の少ない温熱療法(ハイパーサーミア)が再注目されている.本研究では,感温磁性体を患部に埋め込み,体外から高周波磁場を印加することにより患部のみを誘導加熱するソフトヒーティング法を採用している.我々は,感温磁性体の温度依存による磁気特性を利用し,周囲の磁場の変化を体外に設置するピックアップコイルに生じる誘導起電力の変化として計測することで,非侵襲的に患部の温度検知が可能な温熱治療システムを研究している.しかし,励磁コイルから感温磁性体までの距離が離れるに従って磁束の変化が減少するため,高感度に磁束の歪みを検知可能なピックアップコイルが必要である.そこで本研究では,励磁コイルおよびピックアップコイルを一体化することで磁束の歪みを高感度に検知可能な磁場印加検知ユニットの構築を目的とした.そこで,励磁コイルおよびピックアップコイルを一体化した検証用磁場印加検知ユニットを試作し,ピックアップコイルを構成する2個のループの中心間距離および設置位置の最適値を物理実験により検討した.