生体医工学
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単孔式内視鏡手術のための腹腔鏡マニピュレータ開発におけるナイロン繊維アクチュエータの作製・評価
小澤 光輝岩本 憲泰厚海 慶太西川 敦
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2019 年 Annual57 巻 Abstract 号 p. S30_2

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抄録

医療現場において患者の負担を低減するため,単孔式内視鏡手術という術式がある.一つの孔で行う手術のため執刀医の視野確保が難しく,安定した視野確保のための,内視鏡を把持するロボットの開発が行われている.本研究では,小型軽量で低コストの腹腔鏡マニピュレータ開発を目的とし,アクチュエータの試作・評価をした.アクチュエータには,ナイロン繊維をツイスト後,熱処理を施して得られるSCP(Super Coiled Polymer)アクチュエータを用いた.SCPアクチュエータは,安価で手術ごとに使い捨てることが可能で,衛生的に手術を行える.更に,アクチュエータの収縮動作を利用することで機構の単純化が見込まれ,重量あたりの発生力も大きく,低コスト化と小型軽量化を図れると考えられる.しかし,形状など物理的特性を長期にわたり維持できる均質なSCPアクチュエータを安定的に生産する方法は未だ確立されていない.これまでの実験で,作製工程である冷却時間に着目し,長時間冷却したところ形状維持が可能であることが示唆された.本実験では,この結果の妥当性を検証するため,ツイスト長,加熱・冷却時の保存方法,完成後の保存方法を見直し再度評価を行った.

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© 2019 社団法人日本生体医工学会
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