生体医工学
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手掌多汗症に対するバイオフィードバック治療器の構築に関する基礎的検討
髙橋 大志古住 理沙髙橋 真悟
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2019 年 Annual57 巻 Abstract 号 p. S31_1

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抄録

 発汗は生理的反応であるが、日常生活に支障をきたす程の過度の発汗が手掌から生じる疾患を手掌多汗症といい、原発性では本邦の国民の5.3%に認められるという報告がある。多くの多汗症患者は日常生活のみならず、就労においても機器類への汗の付着やそれに伴う機器の破損等に対して非常に大きな苦痛を感じており、勤労意欲の低下や職業不適応などの社会問題となっている。多汗症の治療としては薬剤投与や神経遮断術などがあげられるが、皮膚炎や侵襲性、代替性発汗が回避できないといった問題がある。また、精神(心理)療法も実施されているが、エビデンスレベルが低いことや報告数が少ないといった課題がある。そこで、本研究では副作用がない精神療法に着目し、手掌からの発汗量をバイオフィードバック(BF)指標として用いることで自分自身で発汗を制御できる、手掌多汗症用のBF治療器を開発することを目的として、本実験では装置開発の基部として湿度計を用いて手掌からの発汗量を評価できるかを検討した。実験では、湿度センサを手掌に固定して計測した結果、経時的な湿度の上昇が観察され、発汗のBF指標として利用できる可能性が示唆された。

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© 2019 社団法人日本生体医工学会
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