2019 年 Annual57 巻 Abstract 号 p. S31_2
従来の経頭蓋磁気刺激(TMS)におけるコイル設計の多くは、コイルの形状やパラメータを変えていくつかのパターンを用意し、得られる脳内電場を比較することによって最適なコイルを決定するため、全く新しいコイル形状が生まれにくく、実現したい脳内電場分布を生じるコイルの最適性の評価がしにくい。そこで本研究では、逆問題的に脳内電場分布からコイル形状を決定する手法を提案する。本手法では、非常に小さなコイルを並べた平面上にいくつも並べたコイルアレイを用い、脳モデルとして二次元平面型の脳モデルを用いた。コイルアレイに流す電流をベクトルI, 脳内の電場分布をベクトルEと表現すると、係数行列をAとして、これらの間には線形方程式AI=Eが成立する。この線形方程式をコイル電流ベクトルIについて逆問題的に解くことで、コイル形状を決定することができる。解析の結果、円形電場に対しては円形のコイル形状が得られて手法の妥当性を確かめることができた。また、電場分布に局所的な分布を与えることで、8の字コイルのような形状が得られた。これにより、今までとは全く異なるアプローチから8の字コイルを導くことができた。