生体医工学
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CTガイド下IVR用針穿刺ロボットの開発
平木 隆夫
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2020 年 Annual58 巻 Abstract 号 p. 105

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抄録

CT を撮影しながら、CT 画像をガイドに病変に針を刺入して行うInterventional Radiology(IVR)(日本語名:画像下治療)には、肝がん、腎がん、肺がんなどがんの治療が可能なアブレーションや腫瘍に対する生検、膿瘍に対するドレナージなど様々な手技がある。体に切開を加えることなく針を刺入するのみで行えるため、患者の体に優しく(低侵襲)、超高齢化社会におけるがん医療として需要が高まっている。しかし反面、CT 装置の近くで手技を行う医師は被曝するという欠点がある。我々は、岡山大学での医工連携により2012年からCT ガイド下IVR 用の針穿刺ロボット(Zerobot®)を開発している。2014 ~16 年度には日本医療研究開発機構(AMED)委託事業「医療機器開発推進研究事業」として研究開発をすすめ、医薬品医療機器総合機構(PMDA)からの助言も踏まえながら、2015 年度末には臨床応用可能なロボット(委託製造元:メディカルネット岡山)を完成させた。ロボットは6 自由度の動作が可能であり、操作インタフェースを用いて遠隔操作できるため術者は被曝しない。基礎安全性試験や電磁両立性試験を含む多数の非臨床試験を実施し、ロボットの性能および安全性を評価した後、2018 年には、初めての臨床試験(First-in-Human 試験)を特定臨床研究(jRCTs062180001)として実施した。10 例の患者において腎、肺、副腎、縦隔、筋など様々な部位でロボットを用いた生検を行ったが、全例で成功した。ロボットの製品化を目指して2020 年度はAMED 委託事業「革新的がん医療実用化研究事業」にて医師主導治験を開始する予定となっている。

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© 2020 社団法人日本生体医工学会
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