生体医工学
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イントロダクトリトーク -「指先・体表からのバイタルセンシング」OS開催に当たって-
田中 徹
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2020 年 Annual58 巻 Abstract 号 p. 147

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抄録

我が国の65歳以上の人口割合は1985年に10%、2005年に20%を超え、2018年は28.1%となった。この上昇傾向は今後も続き、2040年には35.3%になると予想されている。この超高齢化に伴って医療費も急激に増加しており、2017年度の生涯医療費は一人当たり2700万円に達し、75歳以上で生涯医療費の4割となる1000万円を費やしている。一人当たりの医療費を抑制して医療財政の悪化を防ぐには、特に高齢者の健康維持が重要である。そのため、日常生活の中で脈拍・呼吸・体温・血圧などのバイタルサインを継続的に記録して健康管理に利活用することが求められている。現在、リストバンド型をはじめとして多くのウェアラブルヘルスケア機器が開発・販売され、スポーツ愛好者などのいわゆるアーリーアダプタをはじめとして利用者が徐々に増加している。このような状況に鑑み、本OSでは高齢者にも使いやすい"指先や体表から継続的にバイタルセンシングする"ことに関して、センサデバイスからマーケットまでの現状をそれぞれの第一人者に御講演いただき、今後の課題や解決策について議論を深めたい。また、我々の研究室で開発している、つけ爪の内側に専用設計ICとLEDを実装して、爪上に装着したまま脈波・血中酸素飽和度・血圧等を不快感なく常時計測できる経爪型集積化光電容積脈波記録(PPG)システムに関しても紹介する。

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© 2020 社団法人日本生体医工学会
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