生体医工学
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簡便に実施可能な超早期の認知機能低下を検出するアプリケーションの開発(第一報)
合田 明生志村 孚城大城 一村田 伸安彦 鉄平宮地 諒大杉 紘徳奥山 惠理子
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2021 年 Annual59 巻 Abstract 号 p. 131

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抄録

認知症は諸々の社会問題を引き起こし,その発症予防が喫緊の課題である。近年,認知症の病期は,発症前期(pre-clinical stage of dementia; PCSD),軽度認知障害,認知症に分類される。なかでも認知症の予防介入はPCSD段階での実施が有効とされ,効率良い介入のためには集団からPCSDを検出することが重要である。しかし,既存のPCSD検出方法は侵襲性が高く,高額機器や専門検査者が必要なため,大規模集団への適応は困難であった。そこで我々は,非侵襲的で簡便なPCSD検出を目的として,質問紙を用いた漢字色別テスト物語編(color Kanji Pick-out Test; CKPT)を開発し,その有用性を報告してきた。しかし質問紙版CKPTには,いくつかの問題点があり普及していない。この問題点を克服するため,我々はタブレット端末上で,だれでも簡便に実施でき,即座に結果が表示されるCKPTアプリケーション(以下,アプリ)を着想し,開発を進めている。このアプリでは,検査オリエンテーション,測定時間コントロール,採点,結果フィードバックまでを自動で実施可能な仕様とする予定である。このため,大規模な測定会でも人手をかけずに実施可能であり,効率的なPCSD検出と,その後の認知症予防介入につながることが期待される。本発表では,開発中のアプリの概要と今後の展望について紹介する。

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© 2021 社団法人日本生体医工学会
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