2021 年 Annual59 巻 Abstract 号 p. 324
従来,研究用途での細胞選別にはFACS が用いられているが,高速の流れによる物理的ストレス,蛍光標識による化学的ストレスにより,選別操作自体が,さらに細胞に悪影響を及ぼすという問題がある.そこで,本研究では、光応答性マイクロバルブによる超低流速の単一細胞レベルソーティングと,ディープラーニングを用いた無標識画像による細胞の生死・分化状態判別とを組み合わせることで,機械的・化学的ストレスフリーのソーティング手法を実現する.提案するシステムは,光熱変換材料と形状記憶ポリマーを組み合わせた光応答性マイクロバルブを底面に配置したマイクロウェルアレイに対して,マイクロスケールの光パターンを照射し,細胞を含むウェルのバルブを開いて下層に負圧を加えることで細胞を回収する.マイクロウェルアレイは顕微鏡ステージ上に配置され,顕微鏡視野画像の画像処理によって細胞判別を行い,対応する光パターンが顕微鏡内光路を通してマイクロウェルアレイに照射される.本発表では,顕微鏡ステージ上に最小20μmの光パターンの照射が可能であること,また格子状に光応答性マイクロバルブを配置したシートに対し光パターンを照射することにより,光照射された位置に存在するバルブを数秒で並列的に開くことができることを示す.今後はこの機構を細胞回収に応用し,画像処理を用いた細胞判別器と組み合わせることで,ストレスフリーな細胞選別を実現する.