生体医工学
Online ISSN : 1881-4379
Print ISSN : 1347-443X
ISSN-L : 1347-443X
高速度カメラを用いた3方向等角投影によるePTFE弁葉挙動可視化システムの開発
永野 友香白石 泰之ナラコット アンドリュー山田 昭博山岸 正明山家 智之
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 Annual59 巻 Proc 号 p. 641-643

詳細
抄録

先天性心疾患に対する外科的治療として延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)製3弁付き導管を用いた右室流出路再建術が行われている。臨床成績により中長期的な安定性が示されていることから、ePTFE弁の医学的な有用性が示されている。本研究では工学的なアプローチから生体内の右心系の拍動流下におけるePTFE弁葉内の力学状態を定量評価することを目的として、3台の高速度カメラを用いた3枚の弁葉の挙動を同時に撮影可能な装置の構築を行った。撮影方法として屈折率の変化を小さくするために水中カメラを用いた。1台のカメラで2枚の弁葉を撮影するために3台のカメラを120°ごとに配置した。さらに、対象物の中心をとらえるためにカメラにθ軸回転ステージを取り付けることで角度をつけた。また、3台のカメラを無線通信で同時に操作するために水中アンテナを作成しカメラに張り付けた。各カメラペアの校正および対象物の三次元表面再構築を行うために、円柱型の校正対象物および直径0.8mmのドットによるランダムパターンが印字された対象物を撮影し、取得したステレオ画像を用いて三次元再構築した。構築した3方向等角投影カメラ配置の撮影装置により、対象物の三次元表面の再構築が可能であることを確認した。以上の結果より、構築したシステムを用いてePTFE弁葉の三次元表面を再構築し、弁葉挙動を解析しうることが示唆された。

著者関連情報
© 2021 社団法人日本生体医工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top