生体医工学
Online ISSN : 1881-4379
Print ISSN : 1347-443X
ISSN-L : 1347-443X
MEGハイパースキャニングによる非言語コミュニケーション中の脳領域間の相関活動
金 柱亨小野 弓絵高野 一義渡辺 隼人柳生 一自横澤 宏一白石 秀明齋藤 卓弥
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 Annual59 巻 Proc 号 p. 653-654

詳細
抄録

非言語コミュニケーションの成立に関わる脳活動を調べる目的で、脳磁計を2台を用いたハイパースキャニング実験を行った。知り合い関係にある14ペア28人の健常被験者に対し、互いの顔のリアルタイム映像あるいは録画映像を20秒観察して、映像がリアルタイムか録画か回答する課題を各40試行行った。大脳皮質の62領域におけるθ、α、β帯域活動の平均振幅波形を最小ノルム法により推定し、±1秒以内の時間ずれを許して各施行、1秒間毎に最大となる相関係数を算出した。20秒の提示時間のうち、ペアの対応する脳部位の活動が中程度以上の相関を示した時間の割合(相関時間)について、提示した映像条件と被験者の回答条件を要因とした二元配置分散分析と下位検定を行った。既知の顔の再認に関わる右中前頭回のα波帯において有意な映像条件の主効果と交互作用が確認され、リアルタイム映像条件では被験者の回答に関わらず相関時間が長く、録画映像条件では、ペアの両方あるいは片方がリアルタイム映像と誤って回答した条件において、両方が録画映像と回答した条件より相関時間が長かった。即ち、中前頭回の相関時間は、提示映像がリアルタイム映像の場合だけでなく、録画映像の場合にも被験者がリアルタイム映像と判断すると長くなった。中前頭回の同期活動は、他の脳領域の変調を受けながらリアルタイムコミュニケーションの成立を判断する脳活動指標であると示唆される。

著者関連情報
© 2021 社団法人日本生体医工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top