生体医工学
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血液回路振動の連続測定による脱血不良のモニタリング方法
船場 大地森屋 雄斗奥 知子山内 忍本橋 由香佐藤 敏夫
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2021 年 Annual59 巻 Proc 号 p. 701-702

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抄録

脱血不良のモニタリングとして、ピローの目視が一般的に行われている。しかし、ピローは血液が停滞する部分であり凝血塊が発生しやすく、他の手段で代替えが可能であれば、ピローの設置を必須としないと指摘されている。そのため、脱血不良をモニタリングする新しい方法の確立が求められている。そこで我々は、脱血不良時に発生するバックフローによって引き起こされる血液回路振動の連続測定による脱血不良モニタリングの可能性について検討した。

脱血不良状態を模擬するために、外形6mm、長さ15mmのアクリル製円筒ブロックの中央に孔径1.2mm及び0.6mmの孔を貫通させた2種類の脱血圧調整パーツを作製した。血液回路の動脈側アクセス接続部に調整パーツを1個、あるいは複数個直列に接続することで、段階的な脱血不良状態の模擬を試みた。血液回路の振動測定には、デジタル表示式振動計を使用した。脱血圧調整パーツを使い、段階的に脱血圧を変更していった際の血液回路振動の出力電圧変化を測定することで、脱血不良モニタリングの可能性について検討した。

脱血圧ごとの血液回路振動の変位振幅変化を測定したところ、脱血圧と変位振幅には直線関係があることがわかった。この結果から、血液回路振動の変位振幅をモニタリングすることで、脱血不良を判断できる可能性が示唆された。

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© 2021 社団法人日本生体医工学会
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