生体医工学
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低負荷なストレス測定アルゴリズムの検討
佐山 幸和島田 尊正阪田 治
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2021 年 Annual59 巻 Proc 号 p. 716-717

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抄録

現在,ストレス測定法として科学的に確立されている方法には唾液アミラーゼ活性,心拍数,脳波を用いたものがある.しかしながら日常生活のストレスを計測する場合、これらの手法は被測定者に新たなストレスを与える恐れがある.そこで,日常生活の中の動作を手がかりとしたストレス測定アルゴリズムがあればストレスを与えることなく有用であると考えられる.本研究では,タブレットを用いて,日常生活の中にある動作を手がかりとした低負荷なストレス測定アルゴリズムを検討し,その有効性を検証した.タブレットでは指の動いた時間と座標を測定することができる.被験者にはストレッサーとしてクレペリンテストを実施し,その前後で,タブレット上でパターンロックの解除の指の動作を行った.同時に唾液アミラーゼ活性と心拍数についても測定をした.被験者は10人で全員右利きであった.測定結果を比較したところ,クレペリンテスト後の指の動かす速度と心拍数の間に強い負の相関が見られた.このことは指の動かす速度は交感神経の活動を反映している可能性を示している.次に指の動いた座標から指の理想的な動きとの相対誤差(安定度)を評価した.その結果,クレペリンテスト後には右から左へのストロークにおいて安定度が低下し,安定度とストレスの間に負の相関がある可能性を示した.今後はより有効性の高い測定法や評価法を模索していく予定である.

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© 2021 社団法人日本生体医工学会
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