2023 年 Annual61 巻 Abstract 号 p. 316_2
ポリ乳酸は生体内および環境中で分解されることから、生体適合性を活かした体内埋め込み用材料だけでなく、廃棄に伴う環境負荷の低減を狙った検査機器やパッケージング用の材料として新たな応用展開が期待されている。ポリ乳酸は加水分解により分解が進行し、強度は徐々に低下していくが、構造物の内部に含まれる水分率と強度低下の関係性は明らかになっていない。近年普及の著しい3Dプリンタを用いれば、ポリ乳酸から任意の3次元形状を容易に作製できるだけでなく、内部の充填率を低減し比強度を高めることも可能である。本研究では、3Dプリンタにより低い充填率(80%)により強度試験片を直接作製し、溶液中に所定の期間を浸漬させた後に水分率と引張強度を測定することで、強度低下への構造物内部の水分率の影響を評価した。充填率を低下させると構造物の表面積が拡大して溶液との接触面積が増大するため、構造物の水の汲み上げは上昇し、強度低下は加速すると考えられる。浸漬開始から45日までは含水率は緩やかに上昇し、これに伴って強度低下が進行した。その後、含水率の上昇速度が大きくなり急速に強度低下が進行した。ポリ乳酸は分解速度が遅く、塊状分解の形態で分解が進行するため本研究で示す結果を得られたと考えられる。