2024 年 Annual62 巻 Abstract 号 p. 95_2
血管新生は、既存の血管から新たな血管が増生する反応である。個体発生期だけでなく成体においても、損傷した血管の修復や虚血状態の解除などの生理的な反応として生じる。逆にがんや炎症では、異常な血管を増生し、病態形成やその進展に関与する。我々はこれまで、血管新生で血管が効率よく増生するためには、血管新生因子VEGFなどの化学シグナルに刺激された血管内皮細胞が、集団として効率よく移動することが重要であることを明らかにした(Development, 2011; Cell Rep, 2015; EMBO J, 2020)。一方、新生した血管にはすぐに管腔構造が形成され血流が流れこむため、血流による力学刺激に常に晒されている。しかし、この血流刺激が、化学シグナルと相まってどのように血管新生制御に関与しているのか、ほとんどわかっていない。この点において我々は、血流によって生じる血管壁の伸展が、血管内皮細胞の移動を抑制することで血管新生による血管の伸長を負に制御する、新たな力学シグナルであることを報告した(Nat Commun, 2022)。
本セッションでは、最近さらに見出した血管新生の新たな生体力学的制御機構を紹介する。そこでは、血管内皮細胞の周囲に存在するもう一つの血管細胞ペリサイトが、血管周囲基質を硬くすることで血管内腔の拡張性を調節し、血流による血管新生抑制作用をさらに制御することで血管の増生を促進していた。