ガラス中元素の塩化揮発可能性について、熱力学的平衡計算を用いて網羅的に検討した。鉛を基本モデルとして、56元素に対して、ギブズの自由エネルギー変化が負となる温度範囲を計算した。各元素が酸化物か塩化物か、気相・液相・固相のどれかを把握できる相分配図を作成した。ガラス共存条件において塩化揮発しやすい元素を特定することができた。1100˚Cでは塩素源がCaCl2の時には、ガラス主成分であるSiO2が共存しないときに比べて共存するときの方が、Zn, Sn, Fe, Bi, Sb, Hg, Cd, La, Mnの塩化揮発可能性が高まった。また、塩素源がHClの時には、SiO2が共存しない条件の方が、塩化揮発可能性が高い元素が多かった。さらに900˚C、1300˚Cでも検討し、各元素の塩化揮発可能性の温度依存性も確かめた。これらの結果は、今後ガラス素材中元素を塩化揮発する際に大いに役立つと考えられる。