抄録
海面埋立処分場における埋立工法の一つである片押し工法は、薄層埋立工法と比べると廉価な工法という特徴を有する。しかしながら、片押し工法はバケットを使用して法肩部から廃棄物を投棄して埋立てるため、処分場の一方向から十分に締固められていない軟弱な廃棄物層が形成されていくことになる。また、底部遮水層として用いられる海底軟弱地盤粘土層への集中荷重が生じるため、十分な管理が行われていなければ、底部粘土層が埋立てられた廃棄物の荷重によって底部すべりが発生し、埋立て地盤の崩壊の危険性が懸念されている。これまでに埋立ての段階において数度のすべり崩壊が発生した事例も報告されており、軟弱な底部粘土層への集中荷重や埋立て地盤のすべり破壊への評価が必要な工法といえる。今回は、現在廃棄処分されている廃棄物自体を押さえ盛土材として使用し、埋立てを行いながら同時に押さえ盛土対策工を実施するための検討の結果を報告する。