日本では、19世紀以前から廃棄物と有価物(循環資源)を複線的に収集するシステムが確立していた。循環資源の収集は経済的合理性にもとづいている。一方、廃棄物の回収は公衆衛生を目的としている。いわゆる循環型社会が形成されていたのである。さらに近年では多くの自治体で有料化による循環資源の回収、廃棄物の減量化に成功している。このように日本の廃棄物収集は、経済性を踏まえた優れた社会システムとなっている。 一方、現在、途上国では排出量の増加、質の多様化とともに社会システムとしての廃棄収集が機能していない例がみられ、さまざまな困難に直面している。そのため日本の優れた焼却技術や埋め立て技術を導入することが重要であるとされている。しかし同時に日本の優れた社会システムとしての収集システムの適応が求められる。