希土類元素は、自動車のモーター用磁石などに不可欠な元素である。希土類の生産は中国に一極集中してきたため、その国の情勢に供給が左右されてきた。このことから産業の維持・発展のためには供給の多様化が求められている。希土類を主に使用した製品にネオジム磁石がある。ネオジム磁石は最も強力な永久磁石であり、希土類としてネオジム(Nd)とジスプロシウム(Dy)が添加されている。ネオジム磁石の需要は増加が見込まれているため国内で安定した資源の確保のため、磁石からの高効率な希土類の回収が求められている。
当研究グループは溶融塩電解法を用いてネオジム磁石からの希土類の回収について研究を行ってきた。その結果、希土類を99％以上含む析出物が得られた。さらに、NdとDyの相互分離が求められている。本研究では物理的な性質である比重に着目した。希土類の比重差を利用し、液体金属中でその相互分離が可能であるか検討を行った。
