北海道では、北海道新幹線の開通や幹線道路の建設工事など、交通に関する多くの土木事業が行われている。それらのルートは山岳地帯を通ることが多いことから、山岳トンネルの掘削が多く行われている。トンネルの掘削によって掘削ずりと呼ばれる建設発生土が多く発生するが、その中に自然由来のヒ素や鉛などの重金属が含まれている問題が発生している。それらの掘削ずりは盛土として利用されることが多いが、適切な処理を行わないと周辺の土壌や地下水を汚染する問題がある。
本研究では地産地消で低環境負荷の浄化材として、北海道に分布する火山灰土壌に着目した。この土壌は、腐植物質や粘土鉱物を含有することから、重金属を吸着する能力を有している。このことから、合理的な処理方法である「吸着層工法」としての利用を目指し、吸着能力のデータベース化を図った。また、重金属の吸着能力の要因を解明するため、吸着因子についても検討を行った。